夢想家の日曜日

化粧した男達に胸を鷲づかみにされてしまった

2021年上半期に聴いた音楽まとめ

今年ももう半年が終わろうとしている。
年々「今年ももう」の感覚が間に迫ってきている気がするが、それと同時にコロナ禍以降どうも時間感覚がゴムのようにノビノビになってしまっているので不思議な感じだ。
今年に限れば3月なんかはド就活中で毎日ES書いてたんだからまあそりゃ時間感覚狂うわなというところなのだが。

大半のアウトプットをTwitterに依存している今となってはこのブログも年に数回更新する程度になってしまったが、唯一の決まりごとである年末恒例総括記事がナアナアになってしまったことが昨年の心残りだった。もっとも、昨年のApple Music謹製再生回数ベスト100にチャートインしている曲があらかた入眠用プレイリストの曲だったのだから当然の帰結なのだが。新譜のdigを移動時間に依存しているとこうなる。

というわけで、変則的だが今年は上半期ベスト記事も書いてみることにした。
レギュレーションとしては年末恒例総括記事と同じく、2021年に初めて聴いた音源の中からお気に入りをレビューすることにする。新譜に限らない。
アルバム編/EP編に分かれているが、それぞれ後に紹介された音源ほど気に入ってるということで何卒。なお、アルバム編では特に気に入った曲を3曲ピックアップしている。

それではいってみよう。


・アルバム編

ヒプノシスマイク -D.R.B- Rhyme Anima『Straight Outta Rhyme Anima』

Straight Outta Rhyme Anima

Straight Outta Rhyme Anima

music.apple.com

Like→「RED ZONE (Don't test da Master)」「Love Dimension」「Bayside-Suicide」

ヒプノシスマイク』アニメ版の楽曲集。最初に懺悔しておきたいのだが、筆者はアニメ版を観ていません(ちゃんと全話録画したのに観る元気がなかった。映像コンテンツに限れば今年はこんなんばっかである)。
『ヒプマイ』本家より全体曲の曲調が激しめなのがいい。満を辞してm-floが楽曲提供した「Love Dimension」もすばらしい。m-floとマネジメント契約を結んでいるのはLDHなので今後のヒプマイはLDH所属アーティストの楽曲提供もワンチャンあるはずなのだが、はたして……。LDHavexとのパイプが太いので、avex主導のパラライで楽曲提供するセンもあるが。
とにもかくにも「RED ZONE (Don't test da Master)」の「俺の出世の踏〜み台♡」が好きすぎる。


THE RAMPAGE from EXILE TRIBE『REBOOT』

REBOOT

REBOOT

music.apple.com

Like→「SILVER RAIN」「FAST LANE」「BAD LUV

去年一番聴いたアーティストの待望の3rdアルバム……なのだが若干不完全燃焼感が残る。開幕「SILVER RAIN」から「BAD LUV」までの流れはマジで最高に良いし、メンバーのパフォーマンスは文句なしなのでなおのこと惜しい……。
既発シングルの表題曲とカップリング曲をすべて収録しているせいで新曲の数が少ないのはこれまで通りなのでいいとして、既発シングルの路線のバラバラさがアルバムにもそのまま反映されてしまったきらいがあるな、という印象。
というかこれは1st〜2ndアルバムで魅せてもらったゴリゴリの曲でブチ上げていく無敵のランペ(無敵のマイキーみたいに言うんじゃないよ)が聴きたい私といろんな路線をやってさらなる飛躍を求めたい事務所側との解釈の相違がある気がするのでこの辺で黙ります……メジャーデビューして売れ線になっていくV系バンドか?……来月のライブは無事に開催されてほしい。


PLASTICZOOMS『Wave Elevation』

music.apple.comLike→「Fall Down」「The Worm」「Chronic Offender」

あの稀代の大名盤にしてセルフタイトル『PLASTICZOOMS』から早4年(うそだろ)。
ゴスの闇はより深く、照らす光はより優しく。谷底に差し込む光を仰ぎ見ながら、それでもなお我々は踊り続ける。メビウスの輪のごとく。

 

STUTS & 松たか子『Presence (with 3exes)』

Presence

Presence

  • STUTS & 松 たか子
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥2139

music.apple.com

Like→「Presence II (feat. BIM & 岡田将生) [with 3exes]」、「Presence III (feat. NENE & 角田晃広) [with 3exes]」、「Presence I (feat. KID FRESINO) [with 3exes]」

『大豆田とわ子と三人の元夫』、素晴らしかったですね。
そして毎回変わるエンディングも演出・曲ともに素晴らしかったし、同じトラックでこんなに個性が違うのか、と毎回驚くばかりだった。しかもどのバージョンもサビとCメロでしっかりブチ上げてくる。
ヒップホップ聴く頻度は少なくない割にdigをほとんどやってないので「松たか子、歌うま〜〜!!!!!!!」「角田さんのラップが妙にうまい」「ラップでも岡田将生はかわいい」レベルの感想しか言えないのでドラマの感想を書こうと思う。最終回まで観た私が「推せるのはシンシン、パートナーにするなら八作さん」と思った、という話だ。
どう考えても私の中ではシンシンがぶっちぎりでかわいいのである。小麦粉を頭から被ってしまうシーンなんて、愛らしすぎてもう笑うしかなかった。ただ私はシンシンほど理論武装する勇気もないし弁護士になれるほどハイスペックでもない。そもそも毎日を直感とノリと勢いで生きているタイプの私だと、1日と経たず大喧嘩するだろう。絶対に。

就活を経験したからなのかなんなのか、最近の私の中で「公的領域と私的領域の釣り合い」がホットなトピックとなっている。要は「社会と人格をどうバランスとりながら生きていくか」という話だ。私はどちらかといえば社会に馴染めないタイプの人間で、もちろん私を馴染ませない社会も悪いのだが結局はそんな社会の中で生活していかなければならない。そんなとき「この世なんてクッソくだんねー」と思うのか、そういうバランスの波長が合わないと人付き合いって難しいな、と思うことが増えたのである。卑近な例えだと「外コン就活!圧倒的成長!」か「就活?まあなんとかなるっしょ」のどっちがいい?という感じだ。
それを思えば、「三人の元夫」の中だと八作さんが一番波長が合う気がしているのだ(松田龍平の雰囲気に私が弱いだけという説もある)。私が『スナックバス江』を愛読しているのもこのへんの要因が大きい。明美さんもタツ兄も、「まじめにふまじめいっちょくせん」なのである。多分ね。

このテーマは、同じく今クール放映のドラマ『着飾る恋には理由があって』にも通じる。この作品の主人公はインフルエンサーであり、余暇時間という私的領域にあってもなおその様子をInstagramで発信することが彼女の労働の一環となっている。公的領域と私的領域の境目が無くなったライフスタイルの中で、どのように自己のバランスを取るかがこの作品のテーマなのである。

そういえばこのドラマのクライマックスで流れる曲は星野源「不思議」であり、各話ごとにスーパー星野源タイムが起こるように演出されていた。これは同じTBS系列のドラマ『リコカツ』でも同様だったのだが(こちらは米津玄師「Pale Blue」)、『大豆田〜』といいED演出に凝るのが流行してるのか?私がこれまでボーッと観すぎてたのか?『着飾る恋』は『MIU404』と同じく塚原あゆ子氏演出なのでそのへんの影響下もある気がするが……。

 

GENERATIONS, THE RAMPAGE, FANTASTICS, BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE『BATTLE OF TOKYO TIME4 Jr.EXILE

BATTLE OF TOKYO TIME4 Jr.EXILE - EP

BATTLE OF TOKYO TIME4 Jr.EXILE - EP

music.apple.com

Like→「CALL OF JUSTICE」、「VIVA LA EVOLUCION」、「LIBERATION」

謎の展開でファンを混乱させ続けることでおなじみ、Jr.EXILELDHの若手グループ4組の総称:GENERATIONS・THE RAMPAGE・FANTASTICSBALLISTIK BOYZ)主体の総合コンテンツ「BATTLE OF TOKYO(通称:BOT)」の新譜。バトルオブトーキョーって何?と思った方はググってください。必要な説明が多すぎるせいでこの記事の趣旨かなんなのか迷子になりそうなので。
このアルバムについては、BOTにおける各グループの立ち位置(役どころと言った方が正確かもしれない)をうまく取り入れながら各グループの「らしさ」を表現することに成功している気がする。もっともBOTに関しては、先日発売の小説版は積読中・展覧会もスケジュールが合わずに行けずじまいというひどい有様なので偉そうに言えた立場ではないのだが……。

それにしてもラスト2曲の立ち位置がわからん。ジェネとランぺのコラボ曲を入れるならファンタとバリのコラボ曲もあって然るべきだし最後の曲に至ってはそれBOTじゃなくてただのJr.EXILEの曲では?
コンテンツ全体に対しては、個人的には↓のような感想を持っているのでこれからの展開も楽しみにしている。またライブもしてほしいね(本来は東京オリンピックを意識した展開になるはずだったのだろうが……)。

 

NEHANN『New Metropolis』

music.apple.com

Like→「Nylon」「Under the Sun」「Hollowed Hearts」

上半期にしてもう「2021年のベスト音源獲るんじゃないか?」と言いたくなるレベルのマスターピース
80'sポストパンクが表題通り「New Metropolis」で磨かれるとこうなると言わんばかりの、ストリートと地下の匂いを身に纏ったサイバーポップ。ライブハウスで例えるとするならば、池袋手刀以外ありえない。
ヴォーカルの声質が低く、朗々と歌っているさまがとてもすばらしい(個人的にはdieSの荒瀬大を連想した)。BUCK-TICKといい、この手のサウンドは低音ヴォーカルと相性がいいのか。
THE NOVEMBERSやPLASTICZOOMSあたりの「影響元はヴィジュアル系と同じだけどバンドのポジションとしてはヴィジュアル系じゃないバンド」と同じベクトルを向いている気がする。NEHANN、上記2バンドとdieS・DALLE・gibkiy gibkiy gibkiyあたりで対バンしてくれないかな。もちろん池袋手刀で!
2020年を経た現在、我々にとっての「New Metropolis」たる東京はますます陸の孤島となり、ヴァーチャル化している……というのは地方在住者のバイアスだろうか。かつての私は遠征を通じ、バスタ新宿や東京駅を通じ、「東京」という巨大都市の一片を自分の身体としていた。おいそれと東京に行くことのできない現在、「いま・ここ」、私がいるこの土地の外側は、SNSやメディアを通じてでしか認識できないヴァーチャルな存在に近い。その極めて限定された想像力を縫って、NEHANNの音は疾駆する。誰もいない午前3時の東京、人工の光に照らされた闇の中を。

 

 

・EP編

遠藤由惟『möbius. - EP』

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TLで知ったアーティスト。ヴォーカルワークが完全にヴィジュアル系なのに対し、曲の作りがかなりアンビエントに寄っている対比が面白い。NEHANNの項でも書いたが、THE NOVEMBERSやPLASTICZOOMSあたりの「影響元はヴィジュアル系と同じだけどバンドのポジションとしてはヴィジュアル系じゃないバンド」と同じベクトルを向いている気がする。早くフルアルバムで聴きたい。

 

宇多田ヒカル『One Last Kiss』

music.apple.com

白状しよう。この記事の下書き時点では取り上げる予定はなかった。

『シン・エヴァンゲリオン』の初見は3月。当時の感覚はもう記憶の彼方なのだ(単に就活の記憶を消したかっただけともいう)。ちなみに、シンエヴァの薄い本は(現時点だと)もらい損ねている。

ただ、今聴いてもイントロの時点で宇部市の空撮が目に浮かび「実写パートおおおおん!!!!!!!」となってしまう。すでに各所で言われていることだが、「初めてのルーブルはなんてことはなかった・わ」で一旦切れる歌詞とメロディの不均衡さが非常に印象的である。NEHANNの「Nylon」のサビも「Superimpose the hologram of a New・metropolis」であり、初めて気付いたときは思わずニンマリした。

思い出せば『シンエヴァ』の時期は歴代主題歌はもちろんサントラもよく聴いた。『シン・ゴジラ』のときも感じたが、鷺巣詩郎の手によるサントラはクワイアの使い方が崇高ですらある。

 

MAD TRIGGER CREW「HUNTING CHARM」

HUNTING CHARM

HUNTING CHARM

  • provided courtesy of iTunes

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これだけ曲単位でのセレクト。ヒプノシスマイクよりヨコハマディビジョン・MAD TRIGGER CREW。『ヒプノシスマイク』というコンテンツとしてのビジネスモデルや作り手側のジェンダー意識がどうしても気になってしまい、メインストーリー自体を追うのはやめてしまったのだがやっぱり曲はかっこいいんだよな〜〜!出たのは去年だけど「Survival of the Illest」もベースラインが心地良くて好き。
イントロが白石晃士監督作品に出てくる霊能者みたいで好きです。終始ガチガチに韻踏んでて何回聴いてもめちゃくちゃ気持ちいい。初めてヒプマイ聴いたときからずーっと入間銃兎(ここではあえてキャラ名で書く)の声質と歌い方が好き。うまく説明できないけど癖になる。

 

BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE 『Animal』

Animal

Animal

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上半期の優勝曲、表題作「Animal」でもう決まりでしょ。楽曲として何がどうすごいのかは下記リンクの記事に説明していただくとして、ひたすら曲が良い〜〜!踊れるけどチルくて音に行間がある。打って変わってゴリゴリのヒップホップチューン「HIGHWAY」もかっこいい。一刻も早くフルアルバム出してくれ。

弊ブログ、どの層が読んでるかわからないけど今のLDHのトラックは全体的にめちゃくちゃかっこいいですよ。決して侮るなかれ(事務所の体質が曲のクオリティやパフォーマーのすばらしさに追いつけてないのがただただ歯がゆい)。

realsound.jp

 

PKCZ®︎『GLAMOROUS』

GLAMOROUS - Single

GLAMOROUS - Single

  • PKCZ(R)
  • ダンス
  • ¥255

music.apple.com

これも「Animal」と並び優勝で良いのではないだろうか。真夏に食べるそうめんみたいにツルツルスルスル聴ける!ひたすら踊れる!大好き!(この手のジャンルに疎すぎて感想文が5歳になったオタク)最近出たリミックスバージョンもロックになっててすごくかっこよかった。

就活真っ最中のときによく聴いていたので今聴いてもちょっとその辺の感覚になってしまう。白濱亜嵐がこんなかわいい声で歌えるのなんでなんですか?!??!それはそうとインブラはどこに行きたいんだ。まだ「中の人」のネタバラしすら(公式には)済んでいないのだが。

 

こうしてみると上半期リリースでも聴きそびれてる音源が多くて愕然とするthe GazettE『MASS』はいつApple Musicに来るんですか?!?!。black midiダニー・エルフマン……KID FRESINOの新譜は一度聴いたけどまだ聴き込めてない。
とりあえずこの世がもう少し平穏になることを祈ります。下半期はもっと音楽聴けますように!ライブも行けますように!