夢想家の日曜日

化粧した男達に胸を鷲づかみにされてしまった

DIR EN GREY TOUR18 真世界

DIR EN GREY TOUR18 真世界
2018年4月26日 なんばHatch

 

DIR EN GREY
Voice 京
Gt. 薫
Gt. Die
Ba. Toshiya
Dr. Shinya


01 人間を被る
02 DIFFERENT SENSE
03 LOTUS
04 滴る朦朧
05 禍夜想
06 腐海
07 Midwife
08 鴉
09 新曲①
10 てふてふ
11 VINUSHKA
12 DISABLED COMPLEXES
13 Beautiful Dirt

 

EN
01 新曲②
02 Sustain the untruth
03 霧と繭
04 詩踏み
05 THE IIID EMPIRE

 

ヴィジュアル系を聴き始めて5年ほどになる。
出会ったバンドの中で、もっとも自分の中に根を張ることとなったバンドがDIR EN GREYだ。

最後にDIR EN GREYを観たのは、昨年9月23日(TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of Withering to death.]大阪公演)。
実に半年以上日が空いた計算だ。


リリース間もない新曲「人間を被る」から始まり、中盤の白眉は「禍夜想」〜「腐海」〜「Midwife」。
腐海」以外は、現時点での最新アルバム「ARCHE」収録曲にあたる。
「ARCHE」はどこまでもシンプルに、静謐で空間的な広がりのあるアルバムというイメージだった。
しかし今夜はそれだけで終わらない。
精密に入り組んだ音の打撃が、聴く者を容赦なく袋小路へと誘う。
「ARCHE」の勘所はこのハードコアさだったのかもしれない。
また一つ、新たな側面を垣間見ることができた。
シンプルさとハードコア感。
これが現在のDIR EN GREYのモードなのかもしれない。
彼らは絶え間なく進化を続ける。


「Midwife」の後、「鴉」を挟んでからの「てふてふ」。
この曲もまた、「ARCHE」を象徴する一曲だ。
DIR EN GREYには珍しいと思われる空間系のギターに、聴くものの身体の空白という空白を侵食し愛撫するかのような歌声が纏わりつく。
のちに発表されたsukekiyoのアルバム「ADORATIO」に通じるものを感じる。

そして新曲①、仮称「Ranunculus」。
天上界の存在が地上に降り立ち、生身の人間としてもがき生きる。
スクリーンに表示された歌詩を読み、そう想像せずにはいられなかった。
極限まで削ぎ落とされ、研ぎ澄まされた刃が一つ、また一つと傷を増やす。
過去の傷を隠すように。過去の痛みを癒すように。

 

FROM DEPRESSION TO ________ から真世界へ。
憂鬱を経て辿り着いた真実とは何だったのだろうか。
提示される世界にこちらから入っていく訳でも、ただ眺める訳でもない。
容赦なく投げつけられる痛み。
共に呻き、共に血を流す。
観るもの全てに傷跡を残す諸刃の剣によって、生かされていることを知る。生の実感を得る。
そこにあるのは双方向性。
痛みだけではない。そこには全てを受け止め、昇華する慈愛もあったのだ。
真世界とはまさにこのこと。
今という瞬間を生きる、滾る血を強く強く実感できた時間であった。

 

 

 

 

「此処が真実だ」でベースばーんってするとしやが観られただけで来て良かったです