夢想家の日曜日

化粧した男達に胸を鷲づかみにされてしまった

KEEL 5th anniversary「楡と葡萄」

KEEL 5th anniversary「楡と葡萄」
2018年8月12日 下北沢GARDEN

KEEL
Vo. ryo
Gt. aie
Ba. 愁
Dr. Tomoi

 

SE Let it snow! Let it snow! Let it snow!

01 ニードル
02 SWANS
03 腐肉と果実
04 接吻

05 虚構を思考する
06 喘鳴
07 知りすぎた心臓
08 太陽より暑い夏

09 bring me reason
10 rain song
11 水辺の君に
12 星成り
13 正しい鳥

14 発火
15 午後の射殺
16 告白
17 fanfale

18 蒼天
SMC
19 May your life be always fulfilled with love

EN
20 Over
21 修羅
22 Siren
23 人型

 


「KEEL第1期最終公演」と銘打たれたこのライブ。
この日が一旦の区切りとなり、今後の予定は全くの白紙とのこと。


「ニードル」から幕を開ける。
90年代の薫りを感じさせるサウンドながら、繊細に洗練された激しさ。
そう、この音を聴きに来た。
過去で時が止まった訳ではない。
年月を経て研ぎ澄まされた音が軌跡を描く。
ここまで美しくヴィジュアル系であるバンドもそうそういない。


構築美を持ちながらも自由に動き回る楽器隊。
愛と狂気が渦巻く唄。

本編ラスト、「May your life be always fulfilled with love」。
ryo氏の描く愛の詞が好きだ。無垢であり、光に満ちている。

 

アンコールでは、「Over」〜「修羅」〜「Siren」が畳み掛けられる。
個人的には、ここまでヴィジュアル系らしい暴れ方をさせてくれるバンドのライブは他に行っていないので少し寂しい気も。

 

第1期KEELの最後を飾った曲は「人型」。
無垢であるが故の捻れ。
人間にならざるを得なかった、人間という存在であるが故の苦悩。そして狂気。
あまりにも壮絶なryo氏のステージングに全てを持っていかれる。
我々も魂を抜かれたのかもしれない。
あまりにも唐突な幕切れ。
余韻を残さないが故に、まだ心は引きずられたままだ。


KEELは純黒のエナメルのようなバンドだ。
だからこそ、光を受け止め反射し、艶かしく輝くことができる。
良いライブだった。
頭から尻まで一人のバンギャルとして心から楽しめた。
晴れやかでありながら、泣きたくなるような時間。
不思議とこれで最後、という悲壮感はない。
近いうちに再会できる予感がある。
純粋にまたこのメンバーを観たい。この光にまた触れたい。
そんなことを考えさせられた。

 

 

 

あいえさんのグッドスメルの正体を知りたいです

lynch. TOUR’18 「Xlll -THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-」

lynch. TOUR’18 「Xlll -THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-」
2018年8月6日 神戸VARIT.

lynch.
Vo. 葉月
Gt. 玲央
Gt. 悠介
Ba. 明徳
Dr. 晁直


SE INTRODUCTION(「Xlll」収録版)

01 THIRTEEN
02 EXIST
03 GROTESQUE
04 JØKER

05 CREATURE
06 ANTARES
07 DAMNED
08 NEEDLEZ

09 RENATUS
10 AMBLE
11 SENSE OF EMPTINESS
12 AMBIVALENT IDEAL

13 GALLOWS
14 INVADER
15 FAITH
16 OBVIOUS
17 pulse_
18 FIVE

19 A FOOL

EN1
20 vernie
21 I BELIEVE IN ME
22 ALL THIS I’LL GIVE YOU
23 EVOKE

EN2
24 MOON


7月にニューアルバム「Xlll」を発売したlynch.
本ツアーが発売後初ツアーとなる。


ライブでの盛り上がりを重視し、ラウドロック寄りの作風となった前作「AVANTGARDE」から、「SINNERS」〜「BLØOD THIRSTY CREATURE」〜「SINNERS -no one can fake my bløod-」を経て辿り着いた最新作、「Xlll」。
SE〜「JØKER」の流れに否応無く急上昇させられるボルテージ。
ヴィジュアル系らしさとライブ映えをここまで共存させることができるのか、と改めて痛感させられる。
「Xlll」はいわばlynch.史上最もバランス感覚に優れたアルバム」
過去曲を挟んでも、驚くほどその輝きを失わない。
むしろ過去曲と最新曲が互いの素晴らしさを引き出しあっていた。

 

今回印象に残ったのはGt.悠介氏のギタープレイだ。
「スーパーゆしけタイム」の異名を誇る「RENATUS」〜「AMBLE」〜「SENCE OF EMPTINESS」の一連の流れを完全再現。
シューゲイザーやポストロックを思わせる轟音に繊細さを兼ね備えたアルペジオが曲に色彩と深みを与える。
そして本編ラスト曲、「A FOOL」。
アウトロのピアノパートでギターを下ろし、優雅に舞う姿はまさにタロットカードの「THE FOOL」。
夢を見るかのように奏で、音像の枠を広げる。
その才をさらに前面に押し出した姿を観たくなった。


曲の世界に呑み込まれるでもなく、ただただ純粋に「楽しい」と思える時間。
キャリアを重ねた巧さもさることながら、原点に回帰するかのような、あえて言うならばキッズめいた初期衝動をひときわ強く感じた。
たとえ音楽性が変化しようと、lynch.lynch.として存在しているという悦楽。

断言しよう。lynch.は今が一番格好良い。

 

 

葉月さんのアイシャドウのラメがきらきらしていてたいへんかわゆでした

the god and death stars  eight years anniversary

the god and death stars  eight years anniversary

2018716 渋谷La.mama

 

 

the god and death stars

Vo./ Gt. 間瀬大

Ba. kazu

Dr. 大嵩潤

 

 

SE

01 into the filtration

02 濾過

03 焼失

04 君に決めた

05 aaron

 

06 落下する薄荷(新曲1)

07 再びの椅子

08 エドワード・スミス

09 damned

 

10 藁の犬(新曲2)

11 ミンチ

12 canine

13 ママイズジャム

 

14 addle apple

15 風邪のライオン

16 love hole

17 告発

 

18 elephant in the room

19 夜を歩く葡萄

20 真っ赤な雪

21 dawn of the god

 

 

現体制でのthe god and death stars、8周年記念のワンマン。

私にとっては初ワンマン、初東京遠征。

バンギャルとしても節目のライブだ。

 

1曲目、「into the filtration」~「濾過」。

心なしか、普段よりさらに歌に、表情に、演奏に体温が感じられる。感情が迸る。

手を伸ばすようでもあり、別れを告げるようでもある。

昨日は「7月15日」だった。

昨日も今日も笑ってしまうほどよく晴れて、暑い。

 

 

新曲2曲などを挟み、「canine」。

the god and death starsの中でもいっとう好きな一曲だ。

昼と夜が混ざり合う。曙光や黄昏を思わせる穏やかな音の連なり。

それでいて、どこか胸を締め付けるような。

全てを飲み込みながら、時は流れていくことを止めない。

終わりを告げる「dawn of the god」はすぐそこにあった。

 

 

the god and death starsは、いわば「生者のための音楽」を奏でるバンドだ。

純粋さと初期衝動に満ちたドラム。

音を包み込み、音の輪郭を支えるベース。

そして、ときに鋭く、ときに熱を帯びながら展開していくギター。

死や喪失、過去を歌いながらも絶望することはない。

優しさという言葉でもなく、愛という言葉でも足りない。

ただ、そこには光がある。

生を肯定する、という言葉が一番近いのだろうか。

僕らもその光を浴び、やがて体温の一部となる。

それを幸福と呼ばずしてなんと言えばよいのか。

 

 

 

 

 

地方ワンマンマジ激しくお待ちしております・・・。

“fear’s room” gibkiy gibkiy gibkiy x HOLLOWGRAM

“fear’s room” gibkiy gibkiy gibkiy x HOLLOWGRAM

2018年6月15日 梅田Zeela


gibkiy gibkiy gibkiy
Vo. kazuma
Gt. aie
Ba. kazu
Dr. sakura


01 無中無
02 愛という、変態
03 嫋嫋たる対象
04 箍を外す場合、穴に群れる具合

05 形状において歪な、または不自然な
06 suspend
07 告白

08 形の無い、何よりも、愛したのは、お前だけが
09 脳内に

 

前回観たライブの音源が本日の会場で売られている」という不思議な状況の中、実に4ヶ月ぶりのgibkiy gibkiy gibkiy


初手「無中無」のアウトロ、kazuma氏の咆哮が続く中始まる「愛という、変態」のイントロ。


流れるように曲が移り変わり、曲と曲との境界がみるみる曖昧になっていく。
イントロやアウトロで行われるセッション毎に、自分の現在地がどこなのかわからなくなる感覚に陥る。
曲構成、何気無いフレーズ、そして曲順。
かくあるものだと信じていた曲の姿を、やすやすと裏切ってくる。
刻々と変貌する曲の姿に、ただ翻弄されるばかりだ。


最初から最後までで一つの曲を構成しているかのように思えた時間。
待ち受けていたのは、箍の外れた獣だった。
もう彼らの枷となるものは何も無いのだろう。
バンドとしての強みをより一層増した彼らが、新たな場所へと既に進み始めているように思えてならなかった。

 

 

 

HOLLOWGRAM

Vo. ryo

Gt. 夢時

Ba. 一也

Dr. shinya

 

gibkiy gibkiy gibkiyのお次はHOLLOWGRAM

HOLLOWGRAMのライブは初見。

音源についても、「Qualia[ALBUS+RUFUS]」、「MALUS」を軽く予習した程度。というわけでセトリはありません。ご了承。

 

それでも、ryo氏の「綺麗に死ねると思うな」というセリフで始まった「Stand the devil's like」は圧巻だった。

指先まで血の通った歌が、圧倒的な表現力を持って全身を駆け巡る。

 

ryo氏の携わる作品には、いつも鮮やかな色彩があるように思う。

愛や憎しみ、優しさや狂気。

ときとして危ういバランスをかろうじて保つかのような緊張感。

様々な色が繊細に混ざり合う。

一つ一つの色が集まり放つ清冽な光に、また触れてみたい。

そう感じさせる一夜だった。

 

 

 

 

 


kazuma氏の顔左半分が真っ黒にペインティングされてたのにもかかわらずカラフルなニットをお召しになってたことは強調しておこうと思います(何があった)

BUCK-TICK 2018 TOUR No.0【大阪公演編】

BUCK-TICK 2018 TOUR No.0

2018年6月10日 オリックス劇場

 

 

BUCK-TICK

Vo. 櫻井敦司

Gt. 今井寿

Gt. 星野英彦

Ba. 樋口豊

Dr. ヤガミ・トール

 

01 零式13型「愛」

02 美醜LOVE

03 サロメ -femme fatale-

04 Ophelia

05 光の帝国

06 ノスタルジア – ヰタ メカニカリス –

07 PINOA ICCHIO -躍るアトム-

08 羽虫のように

09 IGNITER

10 残骸

11 楽園

12 BABEL

13 Moon さよならを教えて

14 ゲルニカの夜

15 胎内回帰

 

EN1 

01 GUSTAVE
02 薔薇色十字団 – Rosen Kreuzer –
03 ROMANCE

 

EN2
01 Jonathan Jet-Coaster

02 極東より愛を込めて
03 Solaris

 

(ソース: http://www.livefans.jp/events_setlist/897769

 

 

 

「TOUR No.0」奈良公演ぶり2度目のBUCK-TICK

 

約2ヶ月を経て、より一層の深みへと到達した音に包み込まれる。

私自身、前回は全くの初見だったが今回は違う。

演者と観客の双方が手を取り合って「No.0の世界」の深淵に辿り着けるのも、長期にわたるツアーの醍醐味だ。

 

 

アルバムの曲順を追うかのように「零式13型「愛」」~「美醜LOVE」で幕を開け、「ゲルニカの夜」~「胎内回帰」で終わる流れもさることながら、「ノスタルジア – ヰタ メカニカリス –」からの「PINOA ICCHIO -躍るアトム-」~「羽虫のように」、そして「IGNITER」の流れが絶品。

 

 

アンコールまで一瞬たりとも息をつかせない構成。

名曲「ROMANCE」で目の前に広がった愛の景色、その「正しい」黒さと深さから未だに抜け出せずにいる。

 

 

観るものを包み込み、愛の世界へと誘う歌。

それはまさに「超自然的」という言葉がよく似合う。

インダストリアル的要素を多分に取り入れ、ある種の無機質さすら感じさせる楽器隊。

このニ者の対比。

 

「飛び行く残像は

サモトラケのニケより美しい」

 

これこそが、我々が過ぎ去りし遠き日々に思い描いた「未来」の姿ではないだろうか。

 

 

 

 

「GUSTAVE」であっちゃん様のにゃんにゃんパンチにヒデさんが反撃してたのが本当に愛らしかったです

SWARRRM「こわれはじめる」

SWARRRM「こわれはじめる」(2018)
★1. ここは悩む場所じゃない - This is not the place to have a dilemma
 2. 遠く はかなく - Far away and ephemeral
★3. 愛のうた - Song for love
★4. 首輪しゃぶってな - Suck your collar
 5. 明日に歌え - Sing for tomorrow
★6. 影 - Shadow
 7. 夢から - From my dream
 8. マーチ - March
 9. 血が叫ぶ - Crying of my blood
 10. 瞬き - Blink
 11. 自由 - Freedom
 12. 絆 - Ties
★13. あなたにだかれ こわれはじめる - Beginning to break after you hold me

3LA(公式通販)

longlegslongarms.jp


Apple Music

こわれはじめる

こわれはじめる

  • SWARRRM
  • メタル
  • ¥1500

 


「CHAOS&GRIND」をコンセプトに掲げるグラインドコアバンド、SWARRRMの5thアルバムにして最新作。

グラインドコアやハードコア界隈から絶賛されるのみならず、ヴィジュアル系とメタルの狭間を行ったり来たりしているような雑種オタクたち(褒めてます)からもヴィジュアル系っぽさを感じる」と異様なほどプッシュされていたこのアルバム。

私はといえば年々ヴィジュアル系にばかり傾倒していき、比較的近しい音楽性のバンドだとConvergeやAnaal Nathrakhをチョロっと聴いた程度のもの。そういえば去年の今頃Anal Cuntのコピバンやらされたのは何だったんだろう…

以下、ヴィジュアル系のオタクをやってるだけのズブの素人のこじつけレビューとなりますので界隈に厳しいオタクの方はそっとブラウザバッグしていただけるとありがたいです。
無茶苦茶言ってますが貶す意図は全くなく、純粋にジャンルを超えた共通項の妙を楽しむという意図をご理解ください。

 

 

土着的に歌い上げ咆哮するボーカルと、シンプルかつ叙情的でありながら時としてトレモロリフを雨あられと降らせるギター。そしてこれがグラインドコアだと主張せんばかりに所構わずブラストするリズム隊。
これらが渾然一体となった音像が、こんなにも相性の良いものだとは。


愛と片付けてしまうのはあまりにも生易しく、愛と呼ぶにはあまりにも痛切。
言葉が聴き取れるほどに歌い上げるボーカルからは、一人の男の純粋さすら感じさせる足掻きが感じられる。


全体像でいえば、「ヴィジュアル系っぽい」と評されるのも同意できる。
ヴィジュアル系っぽさ」自体曖昧模糊とした概念だが、グラインドコアバンドとして表現を突き詰めた結果(本人たちは意図していないとはいえ)このように感じられるのは不思議としか言えない。

ギターリフをバックに月日時間の語りから始まる「愛のうた」に代表されるように、一種のポエトリーリーディングのごとく多用される語りには確かに「らしさ」がある。「影」のイントロにどうしてもCREATURE CREATUREを感じてしまいますね…

個人的な感想としては「御三家(ムック・メリー・蜉蝣)がやってたとしても違和感はない」というのが正直なところ。
曲構成・歌詞ともに、グラインドコアゼロ年代前半のヴィジュアル系を掛け合わせた趣がある。
グラインドコアというと攻撃衝動を外部に向けるというのが一般的なイメージだが(先述の通り詳しくないのであくまでイメージです。すみません)、「こわれはじめる」においては内に向いたものを感じる。それこそ、初期のムックのあの感じを思い出して頂けるとかなり近いのではないだろうか。


結論。
私の中でこのアルバムは、deadmanのかの名盤「in the direction of sunrise and night light」と対になる立ち位置のアルバムだ。

ときに雨のように、嵐のように、そして星のように降り注ぐ感情の奔流のなかで光を探し向かう。
不定形な自分の形をなんとか保ちながら。

感情の奔流の中で全てを受け入れ、静かに笑うか、あるいは内へ内へと攻撃衝動を爆発させるか。
二者の間にはそれほどの違いしかなく、逆にいえばそれほど近しい存在であるといえる。


聴くものに容赦無く殴りかかり、丸裸にしてしまう音の洪水。
どこかキャッチーさやポップささえ感じさせるこのアルバムをリスナーが無理くりカテゴライズすることなど、それこそ野暮というものだろう。
言い換えると、どのジャンルのリスナーにも届く可能性を秘めている。
2018年にこの音源を手にすることができるのはもはや奇跡だ。
まずは感じるまま、SWARRRMという荒ぶる魂に触れてみてほしい。

 

 

 

池袋手刀でSWARRRMがgibkiy gibkiy gibkiyと対バンしてるのを観たいです

lynch. TOUR' 18「THE NITES OF AVANTGARDE #2」"A BLØODY REVENGE"

lynch. TOUR' 18「THE NITES OF AVANTGARDE #2」"A BLØODY REVENGE"
2018年4月30日 なんばHatch

 

lynch.
Vo. 葉月
Gt. 玲央
Gt. 悠介
Ba. 明徳
Dr. 晁直


01 EVIDENCE
02 DAMNED
03 GREED
04 PRAYER
05 DEVIL
06 VANISH
07 GHOST
08 melt.
09 UNELMA
10 PHANTOM
11 PLEDGE
12 KILLING CUNT
13 THE OUTRAGE SEXUALITY
14 NEEDLEZ
15 I BELIEVE IN ME
16 pulse_
17 F.A.K.E.
18 FAREWELL

EN1
01 FROZEN
02 MARROW
03 enemy
04 MOON

EN2
01 CREATURE

 

明徳氏復帰後初のlynch.関西公演。

lynch.のライブに行くのはTOUR'17 「THE SINNER STRIKES BACK」ぶり。
5人体制のlynch.を観るのは初めての経験だ。


ツアー名に違わず、「AVANGARDE」収録曲を中心に畳み掛ける。
中盤に過去曲も配置しながらも、非常にバランスの良いセットリスト。
MCで葉月氏も触れていたが、やはり「AVANGARDE」収録曲はライブ映えする。
「GALLOWS」以降、よりシンプルに、より尖った音になり続けているように感じられた。


アンコール一発目、「ツアー各公演ごとにレア曲を披露する」との触れ込み通り「FROZEN」。
収録アルバム「INFERIORITY COMPLEX」は初めて聴いたlynch.のアルバム。

なかでもこの曲はその当時からずっと好きな一曲だ。
冷たい質感の楽器隊。内に秘めた激情を放つボーカル。
炎を宿した氷のように、ゆっくりと、だが確実に溶き解されていく。いつしか、こちらの胸にも。
この曲にも顕著だが、lynch.のカラーを決定づけているのは悠介氏のギターによるものが大きい。
繊細で粒の揃ったクリーントーン
煌めくような叙情性は、どこかポストロックやシューゲイザーに通じるものがある。

 

復帰後初ツアー。
メンバーの復帰自体、賛否両論あるだろうことは重々承知している。
そして、それが答えの出せる問題ではないであろうことも。
しかし、完全体となったlynch.のステージは広々としていて、なにか暖かいものを感じた。
罪人の泥を被る未来は、容易に想像できただろう。

にもかかわらず、5人に戻るためのゆるぎない道筋を用意し、前に進み続ける。
それを彼らが選択するならば、少なくとも私は彼らの後を追いたい。
血は偽れない。彼らも、そしてきっと我々も。


血に塗れた激情を、鮮やかに高らかに謳い上げる。
リベンジは終わらないだろう。
夢のような現実を、再び勝ち取るその日まで。
新天地の輝きを手にするその日まで。

 

 

 


「FROZENやってくれたら涙の雨で水死する」ってライブ当日の朝に言ってたら実現しちゃって驚きを通り越して笑うしかなかった